恋しても、愛しても、夢は見ないから
『…何してるんですか?』
『…あ!あぁ、
ちょっと煙草が吸いたくなってね…』
彼女はそういった僕に、
無邪気に笑いかけてきた。
……避けられたわけじゃ
なかったのか…?
『こんな寒いんだから
わざわざ外で吸うことないのに』
『生憎、小さい子供がいる家は
喫煙家には厳しくてね』
嘘だった。
家で吸いたくなるような愛煙家
ではないし、妻は例え家で吸っても
煩くは言わないだろう。
『…そう。
肩身が狭いパパさんですね!』
彼女はそう言うと
手に持っていた携帯に目をおとした。