ホストーカー 【完】
ネズミランドのゲートが見えると、美麗ちゃんは俺の手を放しゲートに向かって駆け出す。
ゲートに着き、くるりと俺の方を向いて
「麗羅!早くこっち来て!!」
と、満面の笑みで子どもの様にこちらに手を振った。
俺はすぐに走って美麗ちゃんの元に向かった。
「ほら見て
あそこにリッキー居るよ!」
リッキーはこのネズミーランドの主役であるネズミをモチーフにされたキャラクターだ。
興奮した口調で俺の腕を引っ張ってすぐにリッキーの元に向かう。
「かわいいーー!!!」
リッキーを見てキラキラと目を輝かせる美麗ちゃんの目を後ろから塞いだ。
「むーっ、
俺以外の男を見ないでー。」
「リッキーは男じゃなくて雄。
麗羅が嫉妬する相手じゃないでしょ。」
「雄なら余計危険だよ!!
いつ、猛獣になるかわからないでしょう!」
俺の言葉も聞かずに美麗ちゃんは無理矢理俺の手を外すと、リッキーの胸に飛び込んだ。
「ぎゃーーーー!!!!」
許すまじ!リッキー。
俺は無理矢理リッキーと、美麗ちゃんの間に割り込んだ。
「お姉さん、写真お願いします。」
スタッフさんにスマホを渡し、一枚記念に写真を撮ってもらった。
「美麗ちゃん、面白い顔してるー。保存っと。」
美麗ちゃんは俺をめちゃくちゃ恨めしそうに睨んでいた。
俺はその写真を家に帰ってリッキーを切り取り、ツーショット写真にしようと心に誓った。