この恋が叶わなくても
携帯の時計は、1分、また1分と進んでいく。
そしてついに待ち合わせ時間になった。
待ち合わせ時間ぎりぎりによく現れる大翔だけど、遅刻は一度もしたことがなかったから少し心配になった。
準備に時間がかかったのかもしれない。
放課後に用事があったのかもしれない。
きっと何かあったんだ。
もう少し待てば、絶対に大翔は焦って走りながら「ごめん、本当にごめん」とか言いながら現れるから。
…そう自分に言い聞かせて、引き続き大翔を待つことにした。
けれど、待っても待っても大翔らしき人物がバス停前に現れることもなく、ただ時間だけが過ぎていった。