この恋が叶わなくても
あたしは、咲希と向かい合わせで座って会議用の長い机に顔を伏せた。
『わかんなくなっちゃった』
咲希にだけ、昨日のことや弱音とか、全部打ち明けたくなった。
「あたしで良かったら話聞くよ」
咲希になら、全部言える。
『ありがとう』
決心したあたしは、昨日のことの話を始めた。
―――昨日
学校から帰宅してから、すぐに出掛ける準備をした。なぜなら、大翔とデートをする約束をしていたから。
あたしは、お気に入りのワンピースを着て、化粧直しをしてデートへ向かう準備をした。
デートと言っても、大翔の家でのデート…俗に言う“お家デート”だった。
大翔の家でデートをするのは久しぶりだったから、楽しみだった。
大翔の家とあたしの家は電車で15分くらいの距離だから、割合近い。
待ち合わせの時間の5分前にはつくように、待ち合わせ時間の20分前に家を出た。