竜王様のお気に入り
イオリはそんな二人を、楽しそうに興味深く見守っている。


何と微笑ましい光景であろうか。


二人の会話はごく自然に交わされていて、陛下の表情も柔らかい。


イオリにはこんな、二人が織りなす至福の時間を壊す術など、持ち合わせてはいなかった。


コウリュウには申し訳ないが、どんな手を使っても、二人を有るべき姿で居させてあげたいと思った。


「竜王陛下。
コウリュウ様を説得するのは至難の技ですが、私が竜王陛下のお能力を引き継ぐことの方が、余りに無謀かと。
何とか・・・。
説得を試みてみます。」


まんまと、竜王陛下の掌の上で転がされたイオリ。


「ふんっ。
そう言うと思っておったわ」


してやったりという顔をして、竜王陛下は満足気に笑った。


竜王の企ては、筋書き通りに進んだようである。


「ねぇ・・・何の事!?」


せっかく仲間に入ったのに、一人話が見えないヤヨイは憮然とした。


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