竜王様のお気に入り
思わぬ仲直り
イオリが陛下の部屋から退室し、どれほどの時間が経っただろう。


今、コウリュウの部屋にはヤヨイを従えて、竜王陛下が訪れていた。


あの後、事の詳細をヤヨイに話したハクリュウは、ヤヨイからこっぴどく叱られたのだ。


イオリにコウリュウの説得を押し付けた事を。


それは兄であるハクリュウの仕事だと言われ、渋々コウリュウの部屋にやって来た。


・・・そして今に至る。


竜王陛下は“兄”ハクリュウとして、コウリュウに自分の想いを伝え始めていた。


話し始めるまでには、イオリを交え、コウリュウの部屋では、かなりの小競り合いが繰り広げられたのだが、ついに陛下は観念したかのように、兄として話し始めたのだ。


頑なに、竜王の立場でいる事を、崩さなかったハクリュウであるが、余りに切ない顔で必死に訴えるコウリュウに、兄として接してしまった。


コウリュウのこの言葉を聞いて。


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