竜王様のお気に入り
「兄上には、俺の気持ちなんて分かるわけない。
いつも突き放した言い方で、竜王陛下として君臨している兄上に、俺の悔しい気持ちが分かるもんか。
竜王でいてもらうからな!
誰でもいいんだろ?
兄上にとって、妃なんて。
なりたいヤツに、ならせてやればいいじゃないか。」


今まで言葉遣いも行動も、申し分なく臣下として振る舞っていたコウリュウであったが、ついに態度に出してしまった。


その上。


「だからヤヨイを、俺にくれよ。」


言った本人も、大それた事を口にしたと、少し狼狽えたが、それでもキッと兄を見据えていた。

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