竜王様のお気に入り
「逆だ、コウリュウ。
我・・・いや、俺は・・・。
誰でもよくないからこそ、ずっと探していた。
種族を越えてでも、俺のたった一人に出会いたかった。
だから自ら、人間界に出向いていたんだよ。」


そう言ってちらりとヤヨイを見た。


「コウリュウ…。
俺は、お前達のためにコハクと婚約しただけで、本気でコハクを妃にする気はなかった。
だからコハクには、何も与えていなかっただろ?
兄として、ただセイリュウ王から、お前達を守りたかっただけなんだ。
セイリュウ王の妃になったコハクを、お前は堪えられたか?
でも結局コハクは死を選び、俺はそれに答える形に、なってしまったんだがな。」


コハクの想いを尊重した事を、ハクリュウは悔いてはいない。

ただただ、辛い決断であったのだ。

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