竜王様のお気に入り
赤い髪をした日本人形は、想い人に気持ちを知られた恥ずかしさと、恐れ多い感情を抱いてしまった罪深さから、どうしていいやら分からなかったのだ。


自分以外の事には、細かな事にも気が付いて、かゆい所にまで手が届くイオリなのだが、いざ、自分の事となると、右往左往してしまうようだ。


『違います』
と否定する事さえ忘れてしまう程、陛下の突然の言葉に、イオリは動揺しているのだから。


後ろを向いて泣くなどとは、主や竜王陛下の前で、絶対にとってはならない態度である。


失礼極まりない事は、イオリだって重々承知している。


それでも尚、こんな態度をとってしまうほどに、イオリは感情が揺れていた。


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