竜王様のお気に入り
「ハクリュウってば!
何て配慮の足りないこと言うのよ!
イオリさん、大丈夫?」


ハクリュウに、一言物申してから、ヤヨイは部屋の角で、壁に向かって小刻みに肩を揺らすイオリに駆け寄った。


「コウリュウさんも、あんまりだわ!
こういう事は、後でそっと聞いてあげるものよ!」


イオリの背中をさすりながら、コウリュウにもヤヨイの怒りの火の粉は飛び火した。


「それに・・・。
私はモノじゃない。
“くれよ”って、何なの?
いくらコウリュウさんでも、失礼よ!」


プリプリと怒りをあらわにして、ヤヨイは偉大なる龍の兄弟を叱りつける。


ハクリュウはつい先程、自室でヤヨイに叱られたばかりで、かなり大きく凹んでいた。


そこへ追い討ちをかけるかのような、ヤヨイのお叱りだ。


冷酷な威厳に満ち溢れた、ハクリュウ王陛下の姿はどこへやら。


シュンと肩を落とし、イオリの背中をさするヤヨイを呆然と見つめるしかなかった。

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