アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
それじゃ、と背を伸ばして私を真っ直ぐに見つめる。
一瞬で周囲の空気が張り詰めた。
「沙理」
数秒前とは全く違う。
私の大好きなキャラの低めの声。
「今日は来てくれてありがとう」
そうだった。
そうなんだ。
こういう職業の人なんだ。
さっきラウンジでこの声が好きだと言った事、覚えていてくれたんだ。
「いえ、私こそ」
心臓が爆発しそうで苦しい。
でも言わなきゃ。
「三神さんと過ごせるなんて夢のようです」
何とか言えた。
グラスを合わせると心地の良い音が響く。
「じゃ、食べちゃおう」
すぐに普段の声に戻った三神さんが早速シチューの肉を食べている。
私はとても食べられる状態ではなかったが、必死でスプーンを口に運んだ。