アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】


起き上がってみたけど、とにかくだるい。
でも起きなきゃ。

重い身体をひきずってバスルームへ行き、熱いシャワーを浴びる。

この明るさだと、もう8時くらいになってるはずだ。
昼前の飛行機で帰るんだから、そんなにゆっくりしていられない。

でも……。

朝の空気とシャワーで、すっかり夢から醒めてしまった私は、途方にくれた。
この後、どんな顔して三神さんの前に行けばいいんだろ。
いつまでも出て行かないわけにもいかないし。

それに、あとちょっとで三神さんともお別れなんだと思うと胸が締め付けられた。

洗面所にキャリーケースを置いたままだったので、服を着て髪を乾かして。

よし、と覚悟を決めてリビングへ行くと、テーブルの上には絵に描いたような朝食の準備が出来ていた。

朝日の中で新聞を読んでいる姿があまりにもかっこよくて見蕩れてしまう。
顔を上げた三神さんと目が合って、また胸がドキドキし始める。

「あの、お、おはようございます」

テーブルに着くとコーヒーを注いでくれた。

(いい香り……)

おまけにめちゃくちゃ美味しい。
脳細胞の隅々まで行き渡って、頭が冴えてくる。

「コーヒー好きなの?」

三神さんがまたコーヒーを注いでくれたので私は頷いた。
「俺もコーヒー派なんだ」とニコニコしていて、物凄く機嫌が良さそう。

嬉しくなって私も笑う。

(この時間ももう少しで終わっちゃうんだ)

焼き立てのパンを食べながらそう思っていたのだけど。


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