アラサーだって夢をみる【12/23番外編追加】
「本当の言葉を聞くまで帰さないよ」
帰さないという単語がぐるぐると回る。
――家に帰れない。
「連絡、しなきゃ」
ベルトを外す音がする。
内腿に三神さんの素肌が触れた瞬間、
ぷう太の顔が浮かんだ。
「ぷう太が、待ってる」
自分でも何を言いたいのかわからない。
でも、その台詞に三神さんは少し身体をずらして、
車から持ってきてくれていたらしい私のバッグを手に取った。
中から携帯を取り出して私に見せる。
「電話出来る?」
出来るわけないのに。
三神さんは私の返事も待たずに画面を開いてボタンを押していて。
「ユウキ……トモキかな? これが旦那さん?」
その名前に反応して、私は思わず口にした。
「友樹……?」