愛を待つ桜
廊下を足早に歩く複数の音が夜の病院内に響く。

遠くの音だろうと思い、実光が顔を上げたとき、足音は角を曲がりふたつの人影が近づいてきた。
聡と稔であった。

匡は廊下に置かれたベンチソファに座り、うなだれている。


その姿を見るなり――聡は匡の襟首を掴み、無言で殴りつけた!


兄の不意打ちに、匡は床に叩きつけられる。


「何するん……」

「2度と夏海に近づくなと言ったはずだ! お前が誘ったのかっ!?」


匡の反論を聞く前に、今度は首根っこを床に押さえつける。
そのまま殺しそうな勢いで、聡は弟を絞め上げた。


「落ち着けよ、兄さん! ここは病院だ!」


聡と一緒に来た稔が、慌ててふたりを引き離そうとする。
だが、聡は自分よりひと回り小柄な直弟を力任せに振り払い、末弟に向かって怒鳴りつけた。


「なら外に出ろ! 片をつけてやる!」


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