ランデヴー
「気持ち止められたら、こんなことにはなってないし。て言うか……何なの? 倉橋君には……関係ないじゃん……」


話しているうちに、何故会社の後輩にこんな話をしているのかだんだんわからなくなってきた。


釈然としない気持ちと共に、語尾が少しずつ小さくなる。



わかる訳ない……不倫をしてる女の気持ちなんて、倉橋君にわかるはずがない。


それでも言ってしまった自分は、愚かなのかもしれない。



彼の真っ直ぐな瞳に抗うことができない私の弱さ、汚れた自分。


全てをひっくるめて、何もかもが嫌になってくる。



私の言葉に倉橋君はふっと悲しそうに瞳を曇らせ、眉間に入れた力をより一層強めた。


そんな目で見ないでよ……そんな非難めいた目で、私を見ないで欲しい。


倉橋君の目は、私を居たたまれない気持ちにさせる。



たまらず私は彼から目を逸らした。


そうすると罪悪感から少し解放されたような気がして、瞬間安堵の息を吐く。
< 144 / 447 >

この作品をシェア

pagetop