ランデヴー
「俺の好きな女って……坂下さんだから」


「…………」



それが告白だと理解するのに、かなりの時間を要した。


何故……何故?
倉橋君が私のことを……好きだという結論になったのだろう。


全くわからない。



尚もぽかんとする私を余所に立ち上がろうとした倉橋君は、背中を押さえて「うっ……」と呻くとそのままうずくまった。



「いっ……て……」


相当強く背中を打ちつけたらしいその様子に突然罪の意識に駆られた私は、慌てて倉橋君の背中に手を伸ばす。



「ご、ごめん、大丈夫?」


一見華奢な背中は意外とがっしりとしていて、ごつごつとした背骨が手のひらに触れる。


その背中を軽くさすると、彼は「うん」と小さく呻くように言って再び座り込み、「ふぅ」と息を吐いた。



正直また何かされるんじゃないかという気持ちはあったが、だからと言って私のせいで痛がる彼を放置したい程に憎い訳ではない。
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