ランデヴー
「そしたら陽介、私の傍にいてくれる……? 愛してくれる……?」


「ゆかり……」


私の言葉に動揺を瞳に滲ませ困ったように顔を歪める陽介を見て、私はようやく気付いた。


陽介を苦しめているのは私自身だということに。


私の存在に、陽介は胸を痛めて苦しんでいるのだ。



その時、目に見えない私達を繋ぐ糸がプツリと切れるのを感じた。


私達の終わりを、はっきりと感じた。



陽介は私に選ばせるようなことを言いながらも、本当は終わりを望んでいる。


もう陽介に私との関係を続ける意思は……いや、続ける自由はないのだと。



そのことを痛感した時、私の目からは涙が溢れていた。


陽介がそれを拭おうと、私に手を伸ばす。


でも……私はそれを払いのけると、陽介に背を向けて自ら涙を拭った。



『別れよう』



その一言がどうしても言えなかった。


陽介が望む言葉を……全てを終わらせるその一言を、その時の私は言えないまま陽介と向き合うのを拒んだ。
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