ランデヴー
何気なく見上げると、軽やかに脚立のステップを踏む倉橋君の足元が目に入った。


細身の体に黒のパンツがぴったりと吸い付くように沿っていて、若干の頼りなさを感じさせる。



「倉橋君、細過ぎじゃない? ちゃんと毎日食べてんの?」


「え?」


BOXを抱えようとしていた倉橋君が、チラリと下を覗くようにして私を見た。



「食べてますよ。それなりにっ」


語尾に力を入れるようにしてBOXを持ち上げ、慎重に降りてくる。


大量の書類が入っているその箱は、古い物だと時々底が抜けてしまう程の重さで、以前は派遣社員の女性と2人がかりで抱えていたものだ。


それを易々と1人で持ち上げるその腕には太い筋が浮かび上がり、手元がブレない所を見ると体力はあるようだ。



意外とちゃんと男なんだなぁと、しみじみと考えている自分に気付く。


何だか線の細いイメージを勝手に持っていたらしい。


「キレイな観賞用の置物」とでも思っていたのか、私は。


せっかく手伝ってくれている彼にそんなイメージを抱き、少し申し訳ないと感じてしまった。
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