ランデヴー
「晴れて良かったですね」


「うん。私晴れ女だから、絶対晴れると思ってたけどね」


「え、そうなんですか? 早く言って下さいよ、昨日てるてる坊主作っちゃいました」


平静な顔でしれっと口にする倉橋君の思いがけない言葉に、私は「えっ!?」と素直に驚いた。



「てるてる坊主!? 倉橋君って……案外、メルヘンだね……」


まさか彼がそんなジンクスを信じてるなんて……思わず「あははっ」と声を上げて笑い出した私を、倉橋君が軽く睨む。



「あの、笑い過ぎなんですけど……」


頬を赤く染めながら、困ったように眉を寄せる倉橋君は何だか可愛くて、私は再び「ぷっ」と吹き出した。


だって女性ならともかく、男性でしかも倉橋君が願いを込めててるてる坊主を作る姿を想像するだけで……やばい、可愛すぎる。



「だいたい晴れたのはそのてるてる坊主のお陰かもしれないし……って、もう坂下さん! あー、言わなきゃ良かった……」


赤面しながらも天を仰ぐようにして顔を覆う倉橋君に、尚も笑いながら「ごめんごめん」と謝りつつ、私はふとどこからともなく向けられる視線に気付いた。


チラリと周囲に目を向けると、道行く女の人達が度々倉橋君のことを2度見しながら通り過ぎて行く。
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