ランデヴー
それを見て、私は今頃になって大きな過ちを犯してしまったんじゃないかという思いに駆られた。


もしかして会社の女の子にでも見つかったら、大変なことになるのではないだろうか。



こんなに大きな花火大会だ。
知り合いに会わないなんて、言い切れない。


特に、前田さん辺りなど……考えただけで身震いする。


私はざわめく胸を押さえ、未だ溜息を吐いて「勘弁してよ……」と呟いている倉橋君の顔を見上げた。


突然真剣な顔をする私を見て、倉橋君は少し驚いたように「え、何ですか?」と首を傾げている。



「ねぇ。今日私とここに来ること、誰かに言った……?」


何故もっと早く気付かなかったのだろうと思いながら聞いてみると、「誰にも言ってませんけど……?」と少し怪訝な目を向けられた。



「知られたら、マズいんですか?」


「いや、うん……私多分、会社の女の子に見つかったら、殺されると思うんだよね……」


しどろもどろにそう言うと、倉橋君は一瞬きょとんとして、その後に「ははっ」と楽しそうに笑った。
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