ランデヴー
「何言ってるんですか、行きますよ」


ふわっと細めた瞳で私を捕らえた倉橋君は、突然私の手をギュッと握って歩き出した。



「え! ちょっと待って! 手、は……!」


「はぐれたら困るでしょう?」


振り返りながらいたずらっ子のような顔でそう言われると、私は返答に詰まってしまう。


そして、何だか熱くなる頬。



外で男の人と手を繋ぐのは、久し振りのことだ。


その感覚に、胸の奥が酷く揺さぶられた。



私は握られた手を振り解けない自分を少し歯痒く思いながらも、倉橋君に手を引かれながら後ろをついて歩いた。



駅から花火の見える場所までは、しばしの距離がある。


その道のりを陽介以外の人と手を繋いで歩くことに、ものすごい罪悪感が募る。


私は何をしてるんだろう、と。



でもこの時間は何故だか私にとってとても新鮮でもあり、忘れてしまっていた何かを呼び起こすかのようだった。
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