スパルタンコード
次に証言したのは、被害者と、さっき事情聴取した下部さんの上司、有野清美だった。


この人、見た目も人柄も、典型的なキャリアウーマンだった。

「そうですね、暗永は優秀な人物ではありますが、人間性が汚い人でしたね。
そのことは上層部も気づいていて、なかなか賞与を与えていませんでした。」
「なるほど。
ところで、なぜこのホテルに滞在を?」
「出張のためです。先月から決まっていました。」



間髪入れず、伸さんが質問した。
「被害者の専門は何だったんですか?」
「コンピューター全般はそつなくこなせますが、確か暗号化だったと……。
そういえば、一時期暗号の歴史を研究していたとか。


逆に下部は、グラフィック専門で、暗号はあまり得意ではないようですね。」





そのことを聞いた伸さんは、お礼を言った。








そのときの、彼の雰囲気は、全てを見通しているようだった。
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