雨粒のワルツ
そして、次の日



クラスの子に尋ねてみたら、八木澤センパイはとっても有名な人らしいってことがわかった。


あの有名な資産家・八木澤家の長男で、次期当主

それにとってもピアノが上手で、音大に進むって話もあったのに実家を継ぐことを決めてこの大学に入学してきたらしい。



「でもね、ホモってうわさもあるのよ、八木澤センパイ」



あまりの衝撃に飲んでいた紙パックのオレンジジュースを噴出しそうになる。



「本当に？」


じゃあ、昨日クッキーあげてた人は・・・？


「ん～事実かどうかわからないけどね～・・・あっ」


その子はポケットの中の携帯をさっと確認すると、慌てて荷物を片付け始める。


「ごめんっ、彼氏と待ち合わせしててさ・・・また明日ね」


「あ、うん。また明日」


衝撃のウワサを置き去りに、私は教室で一人ぽっちになってしまった。






まさか・・・・





そう思いながら、旧校舎のほうへと向かった。
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