天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅥ
「…あのよぉ、拓斗」

龍太郎が困惑した表情で拓斗を見る。

「ん?」

くりくりした目で龍太郎を見上げる拓斗。

龍太郎より頭一つは背が低い。

まるで中学生だ。

拓斗はあのバイオリン男子・橘 和音の弟。

音楽一家の次男なので楽器も一通り弾けるが、兄とは違う方向へ進みたいと、空手部に所属している。

本人曰く、『龍太郎みたいに無骨で男らしい男に憧れる』のだとか。

そう言ってくれるのは嬉しい。

が。

「やるんなら真剣にやれよ拓斗ぉ…大体おめぇみたいな線の細い男、武道にゃ向いてないんじゃねぇか?」

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