天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅥ
逢魔時(おうまがとき)という言葉がある。

読んで字の如く『何やら妖怪、幽霊など怪しいものに出会いそうな時間』を表す言葉。

血の滴るような夕闇、怪異たる阿行が逢魔時に何か影響されたのか、それは定かではない。

ただ。

「あぎょうさん、さぎょうご、いかに」

龍太郎の背中でそう繰り返し、肩越しに彼の顔を覗き込む。

何ら表情、感情すら感じさせない白面で。

…その白面が、酷く不安と恐怖を煽った。

「な、何凄んでやがんだ阿行…そんな小せぇナリでよ…」

冗談にしては性質が悪い。

そんな不気味な白面まで準備して。

まるで噂話や怪談で聞いた、『あの話』みたいではないか。

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