琥珀色の誘惑 ―日本編―
やがて東の空が白々としてきて、めっきり少なくなった雀の鳴き声が聞こえ始めた。


(もう起きなきゃ……)


両親にも弟にも、何の事情も話さずに部屋に籠もっている。
まさか本当のことは言えない。


「ミシュアル王子の呼んだ娼婦と間違われて、側近の人に殺されそうになっちゃった」


なんて言えるはずがない。

だが人間というのは不思議なもので、起きなきゃ、と思うと、ついウトウトして……。



「姉貴! 大変だ!」


遼の大声に、舞はハッとして目を覚ました。

そして、寝惚けた頭で必死に考える。


「な、なに? 馬で来たの? それとも戦車……いや、パトカーかも」


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