琥珀色の誘惑 ―日本編―
「思った通りだ。お前は私好みで非常に可愛らしい。飲み込みも早く、従順で素直な妻となるだろう。そして適度な我侭で私を困らせ、視線を向けさせる。私はあらゆる意味で、お前を満足させる夫であると約束しよう」 

「そ、それは……わたしを愛してるってこと?」


近づく唇が重なる寸前に止まった。


「バージンだから、なんて理由でプロポーズされるのはイヤ。好きだから、愛しているから、わたしだから妻にしたいって言って欲しい」


舞は自分からミシュアル王子に近づいた。

両手で彼の両腕を掴み、ぶら下がるように言葉を続ける。


「わたしもそうよ! 国とか親の為じゃなくて、あなたに恋して結婚したい! アルはカッコイイし、ちょっと訳判んないけど、いざって時は守ってくれるし。ズルイのは判ってる。でも、先に愛してるって言って欲しい。そうしたら、安心して好きになれるから。だから――」


――自信がなかった。

生まれて二十年間、一度も自分が可愛いとか、女の子らしいとか思ったことがない。
本当は男になるはずだったのに、間違えて生まれて来たのかも知れない、と本気で考えていたくらいだ。


< 82 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop