My Little Baby【短編】


「祐介、私は―」
「行けよ」

いつもより低い祐介の声が、強く、私の声にかぶさる。

「もう、行けよ。早く」

遠ざけられるような言葉に、悲しくなる。
彼の想いに答えられない私は、拒絶されて当然かもしれない。
それでも、祐介は大切な友達には変わりなくて、拒絶の言葉に胸がちくりと痛む。

「‥わかった」

背を向けて、ゆっくりと歩き出す。

これで、終わり?
もう、友達にはもどれないのかなぁ?
ねぇ、祐介――

こみ上げる涙をこらえながら、重い体を無理やり前に動かしていると、後ろから祐介の声がした。

「みちるっ!」

大きな声にびっくりして後ろを振り返ると、視線のすぐ先に祐介が立っていた。

「また、明日な!」

そう言って、にっと笑って見せた無邪気な顔はいつもの祐介で。

「うん!」

私も、いつものように笑って返した。

無理して笑ってくれたことくらいわかってる。
でも、それが、祐介に答えられなかった私への祐介の”答え”なんでしょう?

大丈夫。きっと、これからも祐介は友達でいてくれる。
全くのいつもどおりになるには、少し時間がいるかもしれないけれど。

でも、すごくすごく大切な、友達だから――





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