My Little Baby【短編】

みちるはどっちに行った?

もう夜も遅い時間だ。家に帰ったと考えるのが普通かもしれない。

みちるの家の方向に踏み出して、止める。


『遼ちゃん』


泣きそうに、俺を呼ぶみちるの声が聞こえた気がした。

そうだ。

こんな時、みちるが行く場所。

悲しいことがあった時、誰にも見られないように泣きたい時、小さい頃からみちるが行く場所。

来た道を引き返してまた走り出す。

こんなことで終わらせない。
みちると過ごして、小さい頃から大切にしてきた時間も、ずっと大切に温めてきた想いも。
何よりも、みちるが大切だから。






会いたい、と思った。

そして、やっと気付いた想いを伝えたいって。

アパートの前で遼ちゃんの帰りをひたすら待っていた。

好きだと伝えたら、遼ちゃんはどんな顔をするだろう?

ううん、それより前に、あの時のキスの意味を知りたい。

それとも、意味なんてないの?

でも、この気持ちを伝えたら、遼ちゃんは応えてくれるかもしれない。

私を好きになってくれるかもしれない。

好きに、なってくれる?

考えれば考えるほどに期待も不安も膨れ上がっていくみたいだった。

ドキドキする心臓を抑えながら、ドアに寄りかかって夜空を見上げた。

街の明るさで星は見えないけど、もうすぐ遼ちゃんに会えると思ったらくすんだ夜空もなんだかいつもと違って見えた。

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