王子様は囚われ王女に恋をする
「アリシア、私と一緒にメルディアンを再興しよう」


叔父の言葉に耳を疑う。


「…再興ですって?」

「ああ、そうだ。
2人で王の遺志を継ぐんだ。君と私ならやり遂げられる」


(よくもそんなことが…)

アリシアがすべて知っていることを告げようとした時
トーマスが先に口を開いた。


「カイル王子との結婚など私が許さない」


ゾッとするような低い。声でそう言い放つと
トーマスは突然アリシアの腕を強くつかんだ。


「なぜカイルをかばったりした?
そんなことをしなければあいつは死んでいたのに」


「痛っ…叔父様、離してっ」


痛いほどに手首をつかまれて、アリシアは抵抗する。


「お前は私の妃になるんだ」


トーマスはその冷たい目でアリシアを見つめたまま
片手で彼女の首筋をなでた。


「やめてくださいっ」


トーマスから逃れようとした時
グっと引き寄せられて、アリシアの唇がふさがれた。


叔父の唇がむさぼるように動く。


無理やりに口を開かされようとした瞬間
アリシアは思い切り相手の唇にかみついた。


「…っ」


トーマスは驚いて体を離すと
手の甲で唇の血をぬぐった。


「両親を殺したあなたの妃になんて
誰がなるものですか!」


アリシアはトーマスを睨みつけた。


トーマスはそんなアリシアをみて不敵に笑うと
ベッドから立ち上がった。


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