王子様は囚われ王女に恋をする
少年はアリシアの言葉に自然と聞き入っていた。

これまで自分が信じてきたトーマスが
実は裏切り者だったという話はにわかには信じられなかった。

「そんな…信じられません」

困惑する少年にアリシアは言った。

「でもそれが真実よ。王も裏切りに気づいていた。だからセナールに助けを求めたの。叔父様が私を監禁していることをあなたはおかしいと思わないの?」

少年は答えられなかった。

アリシアがウソをつくようには見えない。でも、今まで自分が信じてきたものがすべて偽りだったとは思いたくなかった。

「お食事、召し上がってください」

ようやくそれだけ言うと、少年は部屋を出ていった。
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