王子様は囚われ王女に恋をする
舞踏会なんて久しぶりだった。

人混みができているところに目をやると
多くの女性に取り囲まれたカイルの姿を見つけた。

あんなに囲まれていては
しばらく戻っては来られないだろう。

アリシアは一人でいられることにホッとしたような
でも少しさびしいような複雑な気持ちになった。

「君がアリシア?」

突然呼びかけられて顔を上げると
にやけた顔の赤茶色の髪の男性が目の前に立っていた。

「そうですけど…」

彼は仁王立ちになったまま
アリシアを頭のてっぺんからつま先まで値踏みするように見た。
あまりに無遠慮な視線にその場に居づらくなる。

「何か…ご用ですか?」

「ふーん、なかなかじゃないか」

彼はそう言うと断りもせずに隣に腰かけた。

「一人でつまらなそうだな。俺が相手してやるよ」

まとわりついてくる視線に鳥肌が立つ。

「結構ですから…」

思わず身を引いた彼女の肩を抱く手から逃れようとするも
力ではかなわない。

「嫌がる顔もそそるな」

「やめてくださいっ」

助けを求めようにも先ほどの場所にはカイルの姿もなく
踊りや歓談に夢中な人々は、アリシアたちに気づかない。

近づいてくる男の顔を必死で遠ざけようとするが
男はその手を容赦なく押さえつけた。

「大人しくしてればいいんだよ」

「やめてっ」

もうダメだと思った時、突然叫び声とともに
男の体がアリシアから離れた。

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