2年3組乙女事情
斜め前の席に座る亜希帆ちゃんも、心配そうにしてる。
井上律の性別、見た目、立ってる場所、……。
どう考えたって全部、悪目立ちしかしない。
別に、校門、つまり、学校の敷地外で誰が誰を待っていようが、問題はない。
でも、“校風”から外れすぎてる井上律なら話は別。
井上律がどんな格好で何をしたって、それは井上律の自由だ。
実際、あのスタイルは井上律に似合ってるとも思う。
そうは言っても、ここはリア女で、あたしはリア女生だ。
先生が動いて、あたしとのつながりが変な風に先生達に伝わりでもしたら……
たぶん、おばさん先生を中心に面倒なことになるに決まってる。
「一応、どんな状況になってるか確認しておく?」
今日の授業はもう終わりだ。
小テストのために勉強をする必要も、問題を当てられて困らないように予習内容を確認する必要もない。
ホームルームまでは、まだ少し時間もある。
「する!」
迷わず頷くと、あたし達は3人で、窓際にある果歩ちゃんの席へ向かった。