主婦だって恋をする

「旅館の中でも見て回ろうかな……お土産とか売ってたし」



それで、一度慶にメールしておこう。無事に着いたよって。


そんな私の考えを知ってか知らずか、夫は私の腕を掴んで言った。



「部屋に、居てくれないか……?」



心細いような表情で頼まれて、嫌とは言えなかった。



「ん、いいわよ。病気のときってなんとなく不安なものだものね……」



メールなんてしなくたって明日には帰るんだし……

旅行中は、やっぱり慶のことは考えないようにしよう。


夫が布団にもぐり込んだ後、私は鞄の中から携帯を取り出し電源をOFFにした。


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