純情、恋情、にぶんのいち!




本日、秋晴れ。絶好の体育祭びよりなり。


「――体育祭とかマジいらない」


いきなりぴしゃりと言われてズッコケるかと思った。


「ええ……さーちゃん、まだ1種目めだよ?」

「暑いし日焼けするし汗かくし声枯れるし疲れるし……」

「うん、よくわかったよ、さーちゃん」


高校でできたいちばんの友達・藤沢(ふじさわ)さやかサマはものすごく嫌がっていらっしゃるようですが、わたしはずっとこの日を楽しみにしてきた。

運動神経が格別にいいわけでも、こういうイベントの中心に立ったりするタイプなわけでもないけれど。

座って授業を受けなくてもいい一日というのは、なんとも非日常的で、すごくワクワクしてしまう。


「がんばれーっ」


さーちゃん以外のみんなに便乗し、グラウンドにむかって大声を出してみる。

ただいま1種目めの玉入れ。
ひと学年上、2年生の先輩ががんばってくれているところだ。

< 2 / 307 >

この作品をシェア

pagetop