惑溺
 
リョウは私達が出てきたホテルを見上げ、そこに掲げられたブライダルフェアの看板に意味深に笑う。

「あー。これが噂の婚約者?」

そう言いながら、面白がる様に私達の事を冷たい視線で見た。



……やめて、お願いだからやめて。

私はどうしていいのかわからずに、ただ小さく震えていた。


もう二度と会わないと思っていたのに。
全て忘れてしまおうと決めたのに。
どうしてこんなところで会ってしまうのか。

偶然にしてはできすぎてる。

よりによって、聡史と一緒の時にリョウに会うなんて。

< 132 / 507 >

この作品をシェア

pagetop