惑溺
 

突然聞こえた艶のある低い声に、聡史は軽くため息をつきながら私の首筋に触れていた手を下ろした。


この声……。嘘でしょう?
聞き覚えのあるその声に、私の体は激しく震えた。

「なにやってんの?こんな所で」

そう言って口元に冷たい微笑みを浮かべながら歩いて来たのは、私がたった今心の中で思い描いていたその人。





―――リョウ。どうして、ここに?





< 131 / 507 >

この作品をシェア

pagetop