惑溺
 
二人が向き合う姿にどうしていいのかわからず、私はただオロオロと立ちつくしていた。

そんな私と隣に立つ聡史を交互に見たリョウは、不意に表情を緩め吹き出す様に笑いだした。

「失礼って、酷いな先生。
ただ偶然会ったから声かけただけなのに」

肩を揺らして笑うリョウに、聡史は呆れたように大きなため息をつく。

「西野、もうちょっと普通に声かけられないのか?
そんな風に話しかけてきたら絡んでるようにしか見えないだろ」


……先生?
どういう、事?


唖然とする私の顔を覗き込んだ聡史が、優しく肩を抱いた。

「由佳、いきなり話しかけられて驚いただろ。
ごめんな」
< 134 / 507 >

この作品をシェア

pagetop