惑溺
 
二人は。
聡史とリョウは知り合いなの……?

親しげに話す二人に、私は瞬きさえ忘れて凍りく。
じわり、背筋に冷たい汗が伝った。

呆然としたまま聡史に肩を抱かれる私を、リョウは目を細めて見ていた。

「……ふーん。
先生の彼女がそうやって驚いてるのは、俺だけのせい?」

その言葉に毒を含ませてリョウは綺麗な顔で微笑んでみせる。

「お前のせいに決まってんだろ。
変な奴に突然絡まれたら怯えるよな?」

その毒に気付かない聡史は、苦笑いしながら私の顔を覗き込んだ。


頷くことも、首を振る事もできずに、私は咄嗟に目をそらしてうつむいた。

「そーですか。驚かせてごめんね、彼女サン」

そんな私に、リョウはクスクス笑いながらわざとふざけるような口調でそう言う。

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