惑溺
もうすっかり通い慣れてしまったリョウのマンション。
リョウからもらった銀色の合鍵で扉を開けて中に入り、そして抱き合う。
なんて都合のいい馬鹿な女。
「由佳、髪が濡れてる」
私の一つにまとめた髪を優しくほどきながら、耳元でリョウが囁いた。
「あ、家でお風呂に入ってたから……」
まだしっとりと湿った髪に指を通し、乱暴に私の髪をかきあげながらうなじに噛みつくようなキスをする。
外の寒さで冷たくなった肌の上を這う、リョウの熱い舌。
その感触にぞくぞくした。
「こんな寒いのに濡れた髪で外に出んなよ」
呆れたように意地悪にそう言って私を見下ろす彼を睨んだ。
そんな事言ったって、来いって電話をしてきたのは誰よ。
「うちで入ればいいのに」
手慣れた様子で私の服を脱がしながら酷い男が優しく笑う。
「どうせ脱ぐんだから、その方が手っ取り早い」