惑溺

『何言ってんの。好きな人に電話するなんて、楽しいに決まってるでしょ。
由佳は楽しくないの?あんた聡史さんと付き合って3ヶ月でしょ?
まだラブラブな時期じゃん』

博美の言葉に思わずどきん、とした。
楽しい……?

『あのさぁ由佳。昨日思ったんだけど、あんた聡史さんの事本当に好き?
プロポーズされたって言ったときも全然嬉しそうじゃなかったし……』

「……好きだよ。ただプロポーズは突然すぎてびっくりしちゃったけど。
聡史と一緒にいると落ち着くし」

『ふーん。ならいいけど。
とりあえずアタシリョウくんに電話してみるねー。
後でかけ直すから』

「うん、よろしく」


手の中でぷつりと小さく音をたててから無音になった携帯電話を、私はベッドの上に放り投げた。
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