惑溺

聡史といると落ち着くし居心地がいいし、抱き合えば『ああ、この人が好きだな……』とも思う。


でも、聡史じゃなくてもいいんだ。


私はごろりと寝返りを打ちながら、人のよさそうな聡史の顔を思い浮かべた。

きっと、聡史も同じだ。
私じゃなくてもいい。
聡史にとって私が結婚をみすえた付き合いをするのに丁度いい条件の女だったってだけで、他に同じ様な条件の女の子がいれば、別にそっちでも構わないんだ。


プロポーズまでしてくれた相手に対して、そんな事を考えてしまう自分がひどく歪んでいるように思えてひとりで小さく笑った。


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