惑溺


まるで時間が止まったようだった。
ただ、白い雪だけが音のない世界にしんしんと降り積もる。


街路樹に
街灯に
信号機に

駐車場に並ぶ車に
倒れた自転車に


リョウの肩にも
私の上にも



雪は全てのものを白く包み込み
柔らかく重く、覆い隠してゆく。

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