惑溺
 
「まぁ、それも惨めだけど、クリスマス当日に振られなかっただけましだろ」

ビールを飲みながらそう言うと、木暮は首を傾げて俺を見上げた。

「俺、クリスマスイブに振られた事ある」

「イブに?リョウが?え、マジで!?」

木暮の顔が一瞬好奇心で輝いてから、人の不幸を面白がった自分を恥じるようにすぐにバツ悪そうに下を向く。

「いいよ。笑えよ。もう三年前の事だから」

そう言った俺の顔を見て、安心したように笑うとビールに口を付けた。

「三年前かぁ、じゃあ高3の時か……」

酔っ払った真っ赤な顔で指を折って数える。
こいつ、意外と見た目より酔ってないのかもしれないな、と思いながら頷いた。
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