惑溺
『今すぐ、会いたい』
夢を、見てるのかと思った。
リョウがそんな事を言うなんて信じられない。
夢じゃないなら、またリョウにからかわれてるのかもしれない……。
『これから迎えに行く。今どこにいんの?』
「え?だって仕事は?」
『ちょうど客が途切れたからもう店閉めた』
「閉めたって……。どうして?大丈夫なの?」
『だから…』
軽く混乱状態の私に、リョウはうんざりしたように大きくため息をついた。
『だから、何回も言わせんな』
大袈裟なため息とともに、甘い言葉が私の鼓膜を震わせる。
『お前に、会いたいんだよ』