惑溺

考えれば考えるほど不安になってうつ向くと、自分の左手首にはめていた
少し色褪せた茶色のシュシュが目に入った。



三年前は傷つくことが怖くて、逃げてばかりいた。
……もう、あんな後悔はしたくない。

傷ついてもいいから、リョウに自分の気持ちを伝えたい。



「明日、夕方くらいに部屋に行っても大丈夫?」

『……夕方は無理』

返ってきた冷たい声に傷つきながらも、その動揺が電話の向こうに伝わらないようにゆっくりと深呼吸をした。

「じゃあ、もっと遅い時間がいい?」

『もっと無理』

そんな……。
じゃあ何時ならいいの?
そう言おうと口を開いた瞬間


『そんなに待てない』

鼓膜を震わせたリョウの切ない声に、頭が真っ白になった。
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