惑溺
 
「え?前から休みだって決まってたの?」

それなら最初から教えてくれればいいのに。
ひとりで余計な心配して、バカみたいじゃない。

「店の空調が調子悪くて修理するついでに、内装も軽く工事する事にしたんだよ。
今日昼間工事に立ち会ってたら、煙とホコリ吸ってちょっと喉やられた」


いつもより少し掠れたリョウの声を聞きながら

「なんだぁ。そうだったんだ」

と、肩を落として呟いた。


「お前こそ。社員旅行なんてずっと前から分かってたんだろ?
最初から教えろよ。こんなギリギリになってから言うなよ」

「だって、」

なんとなく言い出しずらかったんだもん。
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