惑溺
ベッドの上でリョウの裸の胸に抱きしめられながらぼんやりと微睡んでいると、
ふと思い出して慌てて体を起こした。
「そういえば、リョウ風邪じゃなかったの!?」
突然起き上がった私に、リョウは眉を片方だけ上げて意味が分からない、と言う表情をした。
「もしかして騙したの?」
「騙すもなにも。俺風邪ひいたなんて言ったっけ?」
言ってない、けど……。
「だって。突然お店休みにしたとか言うし、声は掠れてるし。
風邪ひいたのかと思って心配して来たのに……」
私が確認するようにリョウの額にそっと触れると
「店を休みにしたのは突然じゃないよ。
前から決まってた」
リョウは手を伸ばし私の髪の毛を一筋掴みながら、つまらなそうに呟いた。