惑溺
目の前にあるリョウの胸板の逞しさに目眩がする。
耳元をくすぐるその声に勝手に鼓動が早まった。
「変な気をおこさせたくないなら、俺の言うことを聞いてちゃんと掃除しろよ」
壁についてない方の手が私の首筋を乱暴に掴む。
「ん……!」
首筋に這うその指の感触に、勝手に自分の口から吐息が漏れた。
私の肩までの髪をゆっくりとかきあげながら、色っぽく響く低い声で唸るように囁いた。
「……余計な事ばっかり言ってると」
ゆっくりとその綺麗な顔を傾けながら言う。
彼の黒い髪がはらりと乱れ、顔にかかった。
黒い前髪の隙間から私を睨むその目が熱を帯びる。
「強引に口、塞ぐぞ……」
そう言って彼は私の腰に手を回し、乱暴に私の体を引き寄せた。