惑溺
 
リョウは動揺する私を笑いながら平然とその携帯電話もゴミ袋に捨てる。

いつもクールで余裕で偉そうで、
綺麗な顔で魅惑的に微笑む男。

でもこの人は、女を狂わせる男なんだ……。


どこか冷めた目をしたその横顔を見ながら、そう思った。



私も。

私ももしリョウに恋をしたら、手紙の女の子の様に狂うのかな……。



そんなバカな事を考えながらぼんやりとリョウを眺めていると、

「由佳は真剣な恋愛なんてしたことないんだろ」

リョウが私をからかうように笑った。

「そんな事……」

確かにこの女の事くらべたら、とても真剣な恋愛なんて言えないけど。
でもどうしてそんな事リョウが?

不思議に思って彼の顔を見上げると、その唇がくすりと笑って信じられない事を言った。
< 66 / 507 >

この作品をシェア

pagetop